実施段階

実施段階における管理組合の活動内容の段階を整理すると下図の通りです。

実施段階は、総会で承認された修繕工事を実施する段階です。この段階では、工事着工前の施工者から居住者へ十分な工事の説明を行うことが重要です。

また、工事中に居住者に与える影響に適切に対応するよう、工事連絡会で問題を適切に解決することがポイントです。

実施段階における活動内容

※コンサルタントがサポートします。

工事請負契約の締結

契約の基本的な項目の確認に加え、工事保証を盛り込む。
また、連帯保証や支払い条件に注意する。

工事説明会の出席

施工者による工事の事前説明会で居住者へ協力を依頼する。
工事の窓口や注意点など、事前によく確かめる。

工事連絡会の出席

工事中は、管理組合、設計者、監理者、施工者で定例の連絡会を開催する。工事の進捗状況や問題点の解決にあたる。

中間・竣工検査

監理者が行う検査とは別に、工事が契約通りの仕様と内容で行われているか確認する。

竣工引渡しの立会い

施工者から竣工書類の引渡と説明を受ける。特に、アフター点検の窓口と手順について、よく確かめる。

 

1 : 工事中に発生する問題への対応

工事の実施に当たり、まず認識すべきことは、日常生活の場がそのまま工事現場となることです。工事内容にもよりますが、通常、工事には3ヶ月~4ヶ月程度かかります。

この間に具体的にどのような影響が及ぶのか、どのように対応するのかなどについて居住者に説明し、理解と協力を得ることが重要です。

このため管理組合として、計画段階から工事中に想定される問題点等について居住者に説明しておくとともに、事前に説明会を開催するなど、十分な情報提供を行う必要があります。

また、居住者の苦情や意見を受け付け対応する窓口を管理組合に設置したり、工事の進捗状況等についての広報活動もきめ細かく行う必要もあります。さらに、近隣に対しても迷惑をかけることになりますので、管理組合として挨拶を行うなどの対応も必要です。

なお、想定される主な問題点は次のとおりです。具体的な対応策を施工会社と共に十分検討し、居住者の理解を得ておく必要があります。

 

■工事中に想定される主な問題点

主な問題点 内容
日照及び通風・換気の阻害 建物の周囲に足場が架けられネットで覆われる場合があります。この場合日当たりや通風が悪くなります。
臭気、ゴミ、ほこりの発生 塗料などの臭いや、ゴミ、ほこり等が発生することがあります。
振動、騒動の発生 工事に伴い振動や騒音が発生することがあります。
バルコニー、専用庭の使用 バルコニーや専用庭に置いてある植木鉢やエアコンの室外機の移動が必要な場合があります。
共用部分の使用の制限 工事に伴い廊下の幅が狭くなったり、階段が通行できなくなることがあります。
工事車両駐車場、
資材置き場の確保
工事車両の駐車場や資材置き場を確保する必要があります。マンションの敷地内の駐車場を提供したり、敷地外に借りることが必要な場合があります。
防犯対策、安全対策 マンションが工事現場となりますので、安全対策が重要となります。また、外壁に沿って足場が架けられると、足場を伝って外部の者の進入が可能となるなど、防犯対策も必要です。
停電や断水の発生 一時的な停電や断水が必要な場合があります。
専有部分への立ち入り 玄関ドア枠の塗装など居住者の在宅を必要とする場合があります。

 

2 : 完了検査

修繕工事が終わると、工事契約のとおりの仕様と内容で適切に行われたかどうかを確認するため、必ず完了検査を行います。

設計監理方式の場合は、監理者検査の後に管理組合による確認のため完了検査を実施します。

なお、工事の内容によっては、一定の期間について保証する性能保証書の引き渡しを受けることになります。一般に、工事の完了時に業者から提出を受ける書類として次のものが挙げられますので、確実に引き渡しを受けて下さい。

■修繕工事の完了時に引き渡しを受ける書類

  • 工事完了届
  • 工事完了引き渡し書
  • 工事の担当者名及び連絡先
  • 性能保証書
  • 使用材料リスト
  • 下地補修及びその他施工図面
  • 実施工程表及び工事記録
  • 記録写真
  • 数量表
  • アフター計画書