大規模修繕工事とは

1.大規模修繕工事とは?

大規模修繕工事とは、通常外部足場を設置して行う外壁等の改修工事のことを指しています。
この外部足場がなければ出来ない外壁・屋根・バルコニー・共用廊下廻り等の躯体、塗装、シーリング、防水、金物等の改修工事を、改修時期に多少の早い或いは遅いがあっても、同時に行うことで、割安で適切に外壁面を一新しようとするものです。
これに合わせて、建物内部や設備の改修も行い建築物の総合的なリニューアルを図ることもあります。大規模修繕工事の周期は通常10~10数年で、平均的には12年となっています。
第1回目(経年12年頃)の大規模修繕工事では、新築時の状況に戻す修繕、即ち基本修繕が主体となります。第2回目(経年24年頃)では、改良、グレードアップ、各部位の更新や新設の工事項目も加わります。第3回目(経年36年頃)では、残っていた部分も一新されて、改修によるマンションの再生が達成されることとなります。
しかしながら、現実には区分所有者の高齢化や思惑の違い、資金不足などのために合意形成が進まないことも多く、マンション再生は非常に難しい課題となっています。

2.大規模修繕工事と計画修繕

マンションを長期にわたって快適で安全な住まいとして維持し、また大切な資産としての価値を保全するために、共用部分の修繕について長期的な修繕計画を立て、その計画に従って適切な時期に修繕工事を行うことが重要です。このように建物を維持保全することを「計画修繕」、この基礎となる計画を「長期修繕計画」と呼んでいます。
大規模修繕工事や日常修繕を実施するための資金は、この長期修繕計画の中で工事の必要な時に必要な費用が確保できるよう検討された結果、修繕積立金として居住者(区分所有者)から集められたものです。
工事の目的に沿って内容を十分検討して、無駄を省き有効に使われなければなりませんが、長期修繕計画が十分に実情を反映していないために修繕積立金が不足しているケースも見受けられます。
また、長期修繕計画が基本修繕すなわち「建物の経年劣化への対応」だけで、工事項目を作成していることは不十分であると考えています。
そのため、計画の見直しでは、改善・改良等のグレードアップ、関係法令改正への対応、社会的変化への対応などをその項目に加えることで、実状に合った「計画修繕」のための予算が準備されます。
次回の大規模修繕の際には、今回の工事項目で見送りとした項目の繰り入れ、不足している修繕項目を追加計上、そして設備も含めた今後の計画修繕を総合的に見直さなければなりません。

長期修繕計画の見直し・修正